社会学者E.M.Rogersは、製品購入者を下記の5つに類型化して、イノベーションの普及プロセスを説明している。すなわち、Rogersは、イノベーションによって新しく登場した製品の購入者をイノベーションの「採用者」(Adopter)として捉え、「理念型としてのイノベーションの採用者カテゴリー」 (Adopter Categories as Ideal Types)を下記のように類型化している(Rogers,1983,pp.247-251)。
1. Innovators(イノベーター)
2. Early Adopters(初期採用者)
3. Early Majority(前期多数採用者)
4. Late Majority(後期多数採用者)
5. Laggards(採用遅滞者)
Rogersの議論の知的面白さは、こうした5つの類型化を正規分布と結びつけたことにある。Rogersの議論を、単純化して言えば、製品購入者の製品購入時期(イノベーション受容能力を偏差値化した上で、偏差値に基づいて5類型化しているのである。すなわちRogersは、下記のように、sd(標準偏差,standard deviation,σという記号を用いる場合が多い)を用いて5区分している。
下記グラフの横軸は、イノベーションの採用時期を表し、採用時期が早ければ早いほどイノベーション度(innovativeness)が高いとされている。
そのため日本の通常の偏差値グラフとは異なり、イノベーション度(innovativeness)に関わる偏差値が高いほど左側に来ることになる。sdはstandard deviation(標準偏差)である。
平均から標準偏差の2倍以上ずれた集団、すなわち、偏差値70以上の集団がInnovators(イノベーター)である。
以下、イノベーション度の偏差値60以上の集団がEarly Adopters(初期採用者)、イノベーション度の偏差値50~60の集団がEarly Majority(前期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40~50の集団がLate Majority(後期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40以下の集団がLaggards(採用遅滞者)である。
下記グラフの横軸は、イノベーションの採用時期を表し、採用時期が早ければ早いほどイノベーション度(innovativeness)が高いとされている。
そのため日本の通常の偏差値グラフとは異なり、イノベーション度(innovativeness)に関わる偏差値が高いほど左側に来ることになる。sdはstandard deviation(標準偏差)である。
平均から標準偏差の2倍以上ずれた集団、すなわち、偏差値70以上の集団がInnovators(イノベーター)である。
以下、イノベーション度の偏差値60以上の集団がEarly Adopters(初期採用者)、イノベーション度の偏差値50~60の集団がEarly Majority(前期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40~50の集団がLate Majority(後期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40以下の集団がLaggards(採用遅滞者)である。
[図の出典]Rogers(1983) p.247。ただし読みやすくするため、文字部分等は打ち直した。
上記グラフの日本語表記としては下記が参考になる。
[出典]井庭崇、竹中平蔵、武藤佳恭(2001)「人工市場アプローチによる家庭用VTRの企画競争シミュレーション」『情報処理学会論文誌:数理モデル化と応用』Vol.42 No.SIG 14(OM5),
p.77
p.77
Rogersのイノベーション普及モデルにおける「イノベーションの採用時期が正規分布する」という仮説は、下記の日本における家庭用VTR製品の社会的普及や、レンタルビデオ店舗数の推移グラフなどと一致している。
日本における家庭用VTRの普及とRogersの普及曲線の比較 [出典]井庭崇ほか(2001) p.77の図4、家庭用VTRの普及率のデータの出典は 経済企画庁の「消費動向調査」1982-1996] |
日本におけるレンタルビデオ店舗数の推移とRogersの普及曲線の比較 井庭崇ほか(2001) p.78の図5 [店舗数の推移データの出典は電通総研(1996)『情報メディア白書1996』] |
[関連データ]
E.M.Rogersの主著
[原著]
Rogers, E.M.(1962) Diffusion of Innovation, 1st ed.
Rogers, E.M.(1971) Diffusion of Innovation, 2nd ed.
Rogers, E.M.(1995) Diffusion of Innovation, 4th ed.
Rogers, E.M.(2003) Diffusion of Innovation, 5th ed.
[邦訳]
[関連参考WEB]
Robinson, L. (2009) A summary of Diffusion of Innovations
https://www.enablingchange.com.au/Summary_Diffusion_Theory.pdf
「イノベーター理論」マーケティング用語集、J-marketing.net
http://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my02/my0219.html