法律がイノベーション遂行の「妨げ」となる最近の事例は、「人間が自動車を運転しなければならない」(ドライバーは人間に限る)という道路交通法の規定である。全自動運転自動車というイノベーションの社会的普及委は、現行道路交通法のそうした規定を改定する必要がある。
法律がイノベーション遂行の「妨げ」となる最近の事例は、「人間が自動車を運転しなければならない」(ドライバーは人間に限る)という道路交通法の規定である。全自動運転自動車というイノベーションの社会的普及委は、現行道路交通法のそうした規定を改定する必要がある。
Dosi, Giovanni(1982) “Technological paradigms and Technological trajectories : A suggested interpretation of the determinants and directions of technical change” Research Policy
11(3), June 1982, pp.147-162
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0048733382900166
邦訳「技術パラダイムと技術軌道」今井賢一編(川村尚也訳,1989)『プロセスとネットワーク』第3章,pp.71-112
2 新しい生産方法、すなわち当該産業部門において実際上未知な生産方法の導入。これはけっして科学的に新しい発見にもとづく必要はなく、商品の商業的取り扱いに関する新しい方法をも含んでいる。
Einführung einer neuen, d. h. dem betreffenden Industriezweig noch nicht praktisch bekannten Produktionsmethode, die keineswegs auf einer wissenschaftlich neuen Entdeckung zu beruhen braucht und auch in einer neuartigen Weise bestehen
kann mit einer Ware kommerziell zu verfahren. (以上、原著p.100)
3 新しい販路の開拓、すなわち当該国の当該産業部門が従来参加していなかった市場の開拓。ただしこの市場が既存のものであるかどうかは問わない。
Erschließung eines neuen Absatzmarktes, d. h. eines Marktes, auf dem der betreffende Industriezweig des betreffenden
Landes bisher noch nicht eingeführt war, mag dieser Markt schon vorher existiert haben oder nicht.
4 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得。この場合においても、この供給源が既存のものであるか、――単に見逃していたのか、その獲得を不可能と見なしていたのか――あるいは初めて作り出されねばならないかは問わない。
Eroberung einer neuen Bezugsquelle von Rohstoffen oder Halbfabrikaten, wiederum: gleichgültig, ob diese Bezugsquelle
schon vorher existierte. — und bloß sei es nicht beachtet wurde sei es für unzugänglich galt — oder ob sie erst geschaffen werden muß.
5 新しい組織の実現、すなわち独占的地位(たとえばトラスト化による)の形成あるいは独占の打破。
Durchführung einer Neuorganisation, wie Schaffung einer Monopolstellung (z. B. durch Vertrustung) oder Durchbrechen
eines Monopols.
Schumpeter,J.A.(1926) Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung, 2nd ed., pp.100-101[(塩野谷祐一・中山伊知郎・東畑精一訳、1977)『経済発展の理論』岩波文庫、上183頁、(塩野谷祐一・中山伊知郎・東畑精一訳、1980改訳)『経済発展の理論』岩波書店、p.152]
「第1章の理論は経済生活を均衡状態に向かう経済の傾向という観点から描写したものであり、この傾向は剤の価格と数量とを決定する手段をわれわれに与え、そのときどきに存在する予見への適応として示される。・・・理念上の経済的均衡状態の内容は、与件が変化するために、まさに変化するのである。そして理論はこの与件の変化に対して無能力ではない。・・・しかしこれらの方法も、もし経済生活そのものがそれ自身の与件を急激に変えるような場合には、なんの役にも立たない・・・鉄道の建設がここでも例証に役立つであろう。時間的に無数の小さな歩みを通じておこなわれる連続的適応によって、小規模の小売店から大規模な、例えば百貨店が形成されるというような連続的変化は静態的考察の対象となる。しかし、最も広い意味での生産の領域における急激な、あるいは一つの計画にしたがって生まれた根本的な変化についてはそうはいかない。なぜなら、静態的考察方法はその微分的方法に基づく手段によってはこのような変化の結果を正確に予測することができないばかりでなく、そのような生産革命の発生やそれにともなって現れる現象を明らかにすることができないからである。静態的考察方法はこれらの現象が起こってしまった場合の新しい均衡状態を研究することができるにすぎない。」Schumpeter,J.A.(1926) Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung, 2nd ed.,pp.94-95[邦訳 (1980改訳)『経済発展の理論』岩波書店、p.144、強調は引用者]
「われわれが取り扱おうとしている変化は経済体系の内部から生ずるものであり、それはその体系の均衡点を動かすものであって、しかも新しい均衡点は古い均衡点からの微分的な歩みによっては到達しえないようなものである。郵便馬車をいくら連続的に加えても、それによってけっして鉄道をうることはできないであろう。」Schumpeter,J.A.(1926) Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung, 2nd ed.[邦訳 (1980改訳)『経済発展の理論』岩波書店、p.150の英訳注、強調は引用者]
[Shumpeter関係基本サイト]
[Shumpeterのイノベーション論関係の基本的著作としてのTheorie der wirtschaftlichen Entwicklungの版]
第2版
Shumpeter, J.A. (1926) Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 2. Auflage.[邦訳 (塩野谷祐一•中山伊知郎•東畑精一訳、1977)『経済発展の理論』岩波文庫、上下2冊。(塩野谷祐一・中山伊知郎・東畑精一訳、1980改訳)『経済発展の理論』岩波書店、546pp.+16pp.。]
第2版の英語訳
Schumpeter, J.A. (1934) The Theory of Economic Development: An Inquiry into Profits, Capital, Credit, Interest and the Business Cycle, Harvard University Press, Cambridge, Mass.
https://www.google.co.jp/books/edition/The_Theory_of_Economic_Development/-OZwWcOGeOwC
第7版
Shumpeter, J.A. (1926, 1987) Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 7. Auflage. Duncker & Humblot, Berlin.
https://www.mises.at/static/literatur/Buch/schumpeter-theorie-der-wirtschaftlichen-entwicklung-eine-untersuchung-ueber-unternehmergewinn-kapital-kredit-zins-und-den-konjunkturzyklus.pdf
[Shumpeterのイノベーション論関係論文]
前者の経済循環を実現する軌道は、「時間的に無数の小さな歩みを通じておこなわれる連続的変化(Kontinuierliche Veränderungen)」として微分的方法(Infinitesimalmethode)によって取り扱うことができる。[Schumpeter,J.A.(1926) 原書第2版 pp.94-95, 1980改訳,p.145,邦訳ではVeränderungenを「適応」と訳しているが、引用に際して「変化」に訂正した。]例えば、「小規模の小売店から大規模な、たとえば百貨店が形成される」といったような変化はそうした均衡状態へと向かう連続的変化である。
後者の経済循環を実現する軌道の変化、すなわち、古い均衡状態から新しい均衡状態への推移は、生産的な革命(produktiver Revolutionen)として非連続的変化であり、微分的方法によっては取り扱うことができない。例えば、駅馬車システムから鉄道システムへのイノベーションは、ある均衡状態から別の均衡状態への変化として非連続的なのものである。
システム | 技術システム1 | 技術システム2 | 技術システム3 | 技術システム4 |
名称 | 馬車 | 駅馬車 | 馬車鉄道 | 蒸気鉄道・電車鉄道 |
動力 | 馬 | 馬 | 馬 | 蒸気機関車・電車 |
走行路 | 道路 | 道路 | 鉄道 | 鉄道 |
駅システム | なし | あり | あり | あり |
Shumpeter, J.A. (1926, 1987) Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 7. Auflage. Duncker & Humblot, Berlin.
https://www.mises.at/static/literatur/Buch/schumpeter-theorie-der-wirtschaftlichen-entwicklung-eine-untersuchung-ueber-unternehmergewinn-kapital-kredit-zins-und-den-konjunkturzyklus.pdf
[参考エピソード]
京王電鉄は、京王線の都電への乗り入れを計画していたことで京王線のレール間隔を都電と同じ1372mmとした。
小林拓矢(2018)「鉄道の「レールの幅」会社や路線でなぜ違う?-1つの会社で複数のレール幅がある場合も」東洋経済オンライン、2018年8月14日
https://toyokeizai.net/articles/-/233385?page=3
東京ふしぎ探検隊(2018)「東京の地下鉄、レール幅なぜ違う 直通巡り二転三転」2018/3/11
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27809120X00C18A3000000?page=3
Strategy&「2018年グローバル・イノベーション調査」
https://www.strategyand.pwc.com/jp/ja/publications/innovation1000.html
Home > アイディアと先見性 > 調査・レポート > 2018年グローバル・イノベーション調査
デュポン(2014)「イノベーションの基礎となるデュポンの科学」
http://www.dupont.co.jp/corporate-functions/our-approach/science.html
本WEBページでは、「未来を見据え、デュポンとお客様のために解き明かした当社の科学の価値は、あらゆる場所の人々の生活向上に役立てられる新発見追究の資源となるでしょう。」として、科学が「市場主導型イノベーションの基礎」となるとされている。
DuPont(2015) “Collaborations Enhance Our Ability to Innovate”
http://www.dupont.com/corporate-functions/our-approach/innovation-excellence/science/science-collaboration.html
本WEBページでは、科学および科学者の役割が下記のように強調されている。
“DuPont scientists and engineers connect market needs to science-based solutions. “、”DuPont’s mission has always been to apply world-class science to solving the most difficult challenges of our time. This applies today more than ever, as the 21st century makes extraordinary demands of increasing complexity and scale.”、”Every day, DuPont scientists and engineers are working collaboratively with academics, governments, other companies and organizations to deliver scientific innovations and long-term sustainable solutions to help improve the lives of people everywhere.
With approximately 9,000 scientists and engineers at more than 150 R&D facilities around the world, our scientists have the ability to develop rich insights about local customer needs and foresight about where the next challenges will arise. Our scientists and engineers connect this market knowledge to diverse technology platforms across our businesses.
Global collaboration and market-driven science enable us to respond to customer needs and deliver solutions at a commercial scale.”
Schiermeier, Q. (2010)”Russia to boost university science:But can it break the dominance of the Russian Academy of Sciences without breaking the research base?” Nature, 464, 1257
Published online 27 April 2010
doi:10.1038/4641257a
https://www.nature.com/news/2010/100427/full/4641257a.html
https://www.nature.com/news/2010/100427/pdf/4641257a.pdf
「ロシアの科学的アウトプットは、過去のソ連時代の輝かしい時代とは異なり、中国、インド、韓国にも遅れを取るようになってしまった。ロシアの科学は、1990年代の準-壊滅状態(a near collapse)および西洋への数千人規模の研究者の脱出の打撃からまだ回復してはいない。
ロシアは、こうした衰退状態に対抗し、science-driven innovationを促進(foster)しようと、大学への多額の投資をしようとしている。」ということを報じた記事。