企業における「日本のVTR」を創った男
東芝でVTRの開発に携わり、塚本芳和•和久井孝太•堀之内勝一(1996)『電子メディアの近代史ー「井戸を掘った人々」の創造と挑戦の日々』ニューメディアの中で
澤崎憲一(元㈱東芝専務取締役・元㈱東芝総合研究所澤崎特別研究室長)
聞き手:和久井孝太
塚本芳和•和久井孝太•堀之内勝一(1996)『電子メディアの近代史ー「井戸を掘った人々」の創造と挑戦の日々』
先行研究vs基礎研究
和久井 澤崎さんが研究の現場、また研究管理の担当専務をおやりになって、今後の研究開発の投資、人材育成の在り方について、後輩へアドバイスすることがありましたらお話しいただきたいと思います。
澤崎 私が研究畑を歩いてきて、また会社全体の技術責任者として感じたことは、事業部というのは、放っておくと全ての研究を研究所に頼みに来てしまうということです。そうすると、研究所は事業部のためのサービス機関のようになってしまい、先のことをやれなくなってしまう。それではメーカーとして他社に先駆けたものは開発できません。
私が専務だった時に全社の技術体制の改造をやり、より製品に近いものの開発は各事業部が自分たちで責任を持ってやることにし、これを事業部研究所というかたちにした。つまり、研究所では将来のものを研究するのだとしたわけです。
和久井 本当の意味での基礎研究とメーカーとの関わりはいかがですか。
津崎 大学の先生たちがやられている基礎研究と、メーカーでやっているものとはちょっと違いますね。私も大学で10年間ほど教えていましたが、大学ではこういうものが将来必要だ、これがなくては困るだろうというような実用的な研究がなかなか出てこないんです。こういうことを研究していないと将来非常に困るぞということをやっているのが我々の方で、基礎研究というより先行研究です。
澤崎 私が研究畑を歩いてきて、また会社全体の技術責任者として感じたことは、事業部というのは、放っておくと全ての研究を研究所に頼みに来てしまうということです。そうすると、研究所は事業部のためのサービス機関のようになってしまい、先のことをやれなくなってしまう。それではメーカーとして他社に先駆けたものは開発できません。
私が専務だった時に全社の技術体制の改造をやり、より製品に近いものの開発は各事業部が自分たちで責任を持ってやることにし、これを事業部研究所というかたちにした。つまり、研究所では将来のものを研究するのだとしたわけです。
和久井 本当の意味での基礎研究とメーカーとの関わりはいかがですか。
津崎 大学の先生たちがやられている基礎研究と、メーカーでやっているものとはちょっと違いますね。私も大学で10年間ほど教えていましたが、大学ではこういうものが将来必要だ、これがなくては困るだろうというような実用的な研究がなかなか出てこないんです。こういうことを研究していないと将来非常に困るぞということをやっているのが我々の方で、基礎研究というより先行研究です。