Schumpeterにおけるイノベーションに関する二つの不連続性-技術的不連続性と遂行者的不連続性

Schumpeterは、新結合における不連続性に関して、下記のように技術の不連続性と担い手の不連続性という二つを区別すべきだとした上で,旧製品に関わっていた企業・人間が新結合の遂行者になることは原則としてない,と述べている。
 
「新結合の遂行者が、この新結合によって凌駕排除される旧い慣行的結合において商品の生産過程や商業過程を支配していた人々と同一人である場合もありうえるけれども、しかしそれは事物の本質に属するものではない。むしろ、新結合、とくにそれを具現する企業や生産工場などは、その観念からいってもまた原則からいっても、単に旧いものにとって代わるのではなく、一応これと並んで現れるのである。なぜなら旧いものは概して自分自身の中から新しい大躍進をおこなう力をもたないからである。先に述べた例についていえば、鉄道(Eisenbahnen)を建設したものは一般に駅馬車の持ち主(Postmeister)ではなかったのである。この事情は単にわれわれの基本過程を特徴づけている非連続性に対してとくに明らかな光を投じ、前述の第一種の非連続性[すなわち、軌道の変更]のほかに、いわば第二種の非連続性[すなわち発展担当者の変更]をつくりだす出すばかりではなく、さらにその付随現象の経過をも支配するのである。」Schumpeter,J.A.(1926) Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung, 2nd ed., p.101[邦訳 (1980改訳)『経済発展の理論』岩波書店、p.153]
 
 
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